事業用の預金口座やクレジットカードは作った方がいい?

事業を始める際、「事業用の預金口座やクレジットカードは作った方がいいの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。結論から申し上げると、作った方が断然良いです!
その理由を、あなたが自分で経理をする場合と、税理士などに依頼する場合に分けてご説明します。
自分で経理をする場合
個人事業主として自分で会計ソフトを使って記帳したり、帳簿付けをしたりする場合、事業用とプライベート用のお金が混ざってしまうと、とても複雑になります。
- 処理方法に迷う・間違える
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個人のランチ代や日用品の購入費など、プライベートな支出が事業用の口座から出てしまうと、「これってどう処理すればいいの?」と迷ってしまいます。処理方法を知っていても、間違えてしまうことも多く、これが原因で経理を途中で諦めてしまう方も少なくありません。
- 青色申告特別控除(55万円、65万円)が受けられない可能性
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自分で経理をしていても、上記のような処理の混乱から、正確な貸借対照表(事業の財政状況を示す書類)が作成できず、青色申告特別控除の55万円や65万円といった大きな節税メリットを諦めてしまうケースもよく見られます。これは非常にもったいないことです。
税理士など他の人に経理を依頼する場合
税理士などに経理を依頼する場合でも、事業用とプライベート用のお金が混ざっていると、いくつか問題が生じます。
- プライベートな支出を見られる抵抗感
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通帳やクレジットカードの明細を税理士に提出する際、個人の支出まで見られることに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。
- 会計処理が複雑に・間違いの可能性
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処理が煩雑になるため、正確な会計処理が難しくなります。また、税理士側も経費と個人の支出を区別するのに手間がかかり、誤って個人の支出を経費として計上してしまう可能性もゼロではありません。
資金管理ができなくなる
事業用とプライベート用のお金が混ざってしまうと、現在の状況も将来の計画も把握しにくくなります。
- 事業の儲けや貯蓄が不明確に
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「事業でどれくらいの利益が出て、今いくらお金が貯まっているのか」が分かりづらくなります。
- お金が足りない理由が不明に
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事業と個人の費用、それぞれにいくら使ったのかが不明確になるため、もしお金が足りなくなったとしても、それが事業によるものなのか、個人の支出によるものなのか、理由がわからなくなってしまいます。そうなると、どちらを改善すればいいのかも判断できません。
- 将来の資金計画に支障
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- 現状が把握できないため、将来の資金計画を立てることも難しくなります。
口座名義について
事業用の口座は、必ずしも屋号(「○○商店」のようなお店の名前)でなくても構いません。私の場合も、屋号である「長崎悦子税理士事務所」ではなく、個人名(長崎悦子)の口座を事業用として使っています。
事業用の口座から、毎月一定の金額を生活費として個人の口座に移すことをお勧めしています。こうすることで、事業のお金とプライベートのお金をきっちり区別でき、資金管理がしやすくなります。