親が亡くなる直前に子が引き出した預金、相続税はどうなる?

相続税の計算対象にならないと思っていませんか。
親が亡くなる直前に、子が親の口座から預金を引き出すケースは少なくありません。

引き出したお金を何に使ったかによって、税金の取扱いが変わります。

まずは基本

引き出したお金の使い道は、大きく次の3つに分かれます。

使い道 取扱い
① 親の医療費や老人ホームの費用を支払った 贈与税、相続税どちらも計算対象とはなりません
② 子の生活費に使った 贈与という行為になりますが、贈与税の非課税(条件あり)
③ 子が現金や預金として持っている 親から子への贈与

引き出したお金の使い道3つ(親の医療費等・子の生活費・子が保有)と取扱いを示す図

ケース① 親の医療費や老人ホームの費用を支払った

贈与税、相続税どちらも計算対象とはなりません。
親のお金を親の支払に使ったからです。

親の医療費や老人ホームの費用の支払いは贈与税・相続税どちらも計算対象外であることを示す図

ケース② 子の生活費に使った

次の場合は、贈与という行為になりますが、贈与税の非課税です。

  • 助け合う義務がある身内(親子・夫婦・兄弟姉妹など。法律では「扶養義務者」といいます)同士のやり取り
  • 生活費や教育費として
  • 必要なタイミングで必要な金額を移す

子の生活費に使った場合に贈与税の非課税となる3つの条件を示す図

年間110万円を超えても生活に必要であれば、贈与税の計算対象とはなりません。

生活に必要なら年間110万円を超えても贈与税の計算対象外で、扶養義務者は親子・夫婦・兄弟姉妹などである図

ケース③ 子が現金や預金として持っている

これは親から子への贈与になります。

子が現金や預金として持っている場合は親から子への贈与となり、相続時精算課税の選択で分かれる図

相続時精算課税制度を選ぶ場合

亡くなった年に受けた贈与の場合は、相続税の計算対象となるので、贈与税の申告はしなくていいです。
亡くなった親からの贈与について、亡くなった年に初めて相続時精算課税制度の適用を受けようとする時は、手続きが必要です。

相続時精算課税を選ぶ場合は相続税の計算対象で贈与税の申告不要、初めての適用は手続きが必要な図

相続時精算課税制度を選ばない場合

相続財産をもらう場合
亡くなった年に受けた贈与の場合は、相続税の計算対象となるので、贈与税の申告はしなくていいです。

相続財産をもらわない場合
贈与税の計算対象となり、110万円を超える時は贈与税の申告書を提出してください。

相続時精算課税を選ばない場合に相続財産をもらうか否かで相続税・贈与税の対象が分かれる図

注意点:生前贈与加算

相続税の計算対象になる規定は、生前贈与加算といいます。
一定期間内に亡くなった人からもらった財産を相続財産に足して、相続税を計算する制度です。

相続財産に一定期間内にもらった財産を足して相続税を計算する生前贈与加算を示す図

一定期間

親が亡くなった日 加算対象期間
~令和8年12月31日 相続開始前3年以内(死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日までの間)
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年1月1日~ 相続開始前7年以内(死亡の日から遡って7年前の日から死亡の日までの間)

親が亡くなった日ごとの生前贈与加算の対象期間(3年以内から7年以内へ)を示す図

まとめ

  • 親の医療費や老人ホームの費用を支払った → 贈与税、相続税どちらも計算対象とはなりません
  • 子の生活費に使った → 扶養義務者同士で、生活費や教育費として必要な分であれば贈与税の非課税
  • 子が現金や預金として持っている → 親から子への贈与。相続時精算課税制度を選ぶか選ばないか。選ばない場合、相続財産をもらうかで手続きが変わります
  • 相続時精算課税制度を選ばない場合、相続税の計算対象になる規定は「生前贈与加算」。加算対象期間は亡くなった日によって変わります

引き出した預金の使い道ごとの取扱いと生前贈与加算のまとめ

※本記事は一般的な考え方をまとめたものです。実際の取扱いは個別の状況により異なります。

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