減価償却はどういう計算をするのですか?

減価償却とは、車・機械・建物など高額な資産の購入費用を、使用できる年数にわたって少しずつ経費に計上していく仕組みです。この記事では、取得価額別の処理方法から償却方法の選択、中古資産・相続など様々なケースをわかりやすく解説します。

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📊 取得価額別の処理方法(全体像)

資産をいくらで購入したかによって、経費の計上方法が変わります。また、青色申告の方は白色申告よりも選択肢が増えます。

【図①】取得価額別の処理方法一覧

取得価額 白色申告・青色申告(共通) 青色申告のみの特典
10万円未満
または
使用可能期間1年未満
✅ 使用年の必要経費(全額即時)
10万円以上
20万円未満
一括償却資産
(3年間で均等償却)
✅ 使用年の必要経費
(年間300万円まで)
20万円以上
30万円未満
通常の減価償却
(定額法・定率法等)
✅ 使用年の必要経費
(年間300万円まで)
30万円以上 通常の減価償却
定額法(届出なければこちら)または定率法等
📌 青色申告の「使用年の必要経費(少額減価償却資産の特例)」:購入した年に全額を経費にできるお得な特典です。ただし、年間の合計額が300万円までという上限があります。

💡 10万円以上20万円未満:申告方法別の選択肢

10万円以上20万円未満の資産は、申告方法によって選べる方法が異なります。

【図②】10万円以上20万円未満:申告方法別の選択肢

白色申告

2つの方法から選択できます

① 一括償却資産
取得価額を3年間で均等に経費計上
または
② 通常の減価償却
法定耐用年数にわたって償却
青色申告

3つの方法から選択できます

① 一括償却資産
取得価額を3年間で均等に経費計上
または
② 通常の減価償却
法定耐用年数にわたって償却
または
③ 使用年の必要経費(全額即時)
購入した年に全額を経費にできる
青色申告のみの特典!

📋 採用できる償却方法(個人事業者・法人)

定額法・定率法など、どの償却方法を使うかは個人事業者か法人かによって法定の方法が決まっています。届出をすれば変更することも可能です。

【図③】採用できる償却方法(個人事業者 vs 法人)

個人事業者
届出をしなかった場合(法定)
定額法
毎年一定額の経費計上
届出をすれば
定率法
最初に多く経費計上できる
法人
届出をしなかった場合(法定)
定率法
最初に多く経費計上できる
届出をすれば
定額法
毎年一定額の経費計上
⚠️ 必ず定額法の資産
建物・建物附属設備・構築物は
定率法が使えず定額法のみ

📅 旧定額法・旧定率法について

適用対象
平成19年3月31日以前に取得した資産
現行法との違い
・旧定額法:取得価額 × 0.9 × 償却率
・旧定率法:未償却残高 × 旧償却率
※現行の定額法・定率法とは償却率が異なります

🔢 償却方法の種類と特徴

通常の減価償却では、主に定額法・定率法・一括償却資産の3つの方法があります。それぞれ計算式と特徴が異なります。

【図④】償却方法の比較

定額法
計算式
取得価額 × 償却率
(年の途中取得の場合 × 事業供用月数÷12)
償却費は毎年一定額で計算しやすい
定率法
計算式
(取得価額 − 償却累計額) × 率
(年の途中取得の場合 × 事業供用月数÷12)
償却費は最初が多く、後から少なくなる
耐用年数の途中で計算方法が変わる
一括償却資産
計算式
1年間の取得価額の合計 × 1/3
(月数按分なし)
1年分まとめて計算(月数按分なし)
償却資産税の申告が不要
売却・除却しても3年間償却を継続
💻 計算はソフト・e-Taxの利用がオススメ! 特に定率法は途中で計算方法が変わるなど複雑です。会計ソフトやe-Taxを使うと自動で計算してくれるので便利です。

⚠️ 償却をしなかった場合はどうなる?

うっかり減価償却の計上を忘れた場合、法人税と所得税でルールが異なります。特に個人事業主(所得税)の方は注意が必要です。

【図⑤】償却しなかった場合の取り扱いの違い

法人税(会社)
翌期以降に繰り越して償却できる
今期に償却しなかった分は来期以降にまとめて計上できます。任意償却のため柔軟に対応可能です。
所得税(個人事業主)
翌期以降への繰り越しはできない
所得税は強制償却のため、計上しなかった分を後から使うことはできません。帳簿上は事業主勘定を使って帳簿価額を減らす処理が必要です。
⚠️ 個人事業主は要注意! 償却を忘れると翌年以降に取り戻せません。毎年きちんと計上しましょう。

🏭 中古資産を購入した場合

中古資産を購入した場合、新品とは異なる耐用年数の計算方法(簡便法)が用いられます。

【図⑥】中古資産の耐用年数の計算方法(簡便法)

法定耐用年数の一部が経過している場合
耐用年数の計算式
法定耐用年数 - 経過年数 +
経過年数 × 20%
(端数切り捨て)
※ 算出された年数に対応する償却率を使用
法定耐用年数の全部が経過している場合
耐用年数の計算式
法定耐用年数 × 20%
※ 最低2年(1年未満は切り捨て)
💡 具体例 法定耐用年数6年の車を4年落ちで購入した場合:
6年 - 4年 +(4年 × 20%)= 2年 + 0.8年 = 2年(0.8年は端数切り捨て) → 2年分の償却率を使用

【図⑦】中古資産に資本的支出をした場合の取り扱い

※資本的支出=資産の価値を高める支出(修理・改良など)

ケース① 購入時に資本的支出があった場合
資本的支出の金額  中古資産の再取得価額 × 50%
法定耐用年数で計算
(中古の簡便法は使えない)
ケース② 使用後に資本的支出(修繕・改良)をした場合
資本的支出の部分は、法定耐用年数で計算します。
❌ 適用されないもの
・中古資産の簡便法
・使用年の必要経費の特例

🔄 私用から事業用に転用した場合

個人事業主が、もともと私用で使っていた資産(車・パソコンなど)を事業用に転用する場合、未償却残高を計算し直す必要があります。

【図⑧】私用→事業用転用の未償却残高の計算手順

減価の額を計算する
取得価額× 0.9× 法定耐用年数×1.5の償却率× 経過期間
※経過期間:6月未満 → 切り捨て / 6月以上 → 1年として計算
未償却残高を計算する
取得価額  ①の減価の額 = 未償却残高
未償却残高をもとに減価償却を行う
定額法・旧定額法
取得価額を基に
未償却残高まで定額法で計算
定率法・旧定率法
②で求めた
未償却残高をもとに定率法で計算
📌 旧法を使うかどうかの判断は「購入した時」で行います。 事業に転用した日ではありません。購入した時期が平成19年3月31日以前かどうかで旧法の適用を判断します。

🏠 相続により事業を引き継いだ場合

相続によって被相続人(亡くなった方)の事業を引き継ぐ場合、減価償却資産の取り扱いにも特別なルールがあります。

【図⑨】相続で事業を引き継いだ場合の減価償却の取り扱い

取得価額・
未償却残高
✅ 引き継ぐ 被相続人の帳簿価額をそのまま引き継ぎます
取得日
✅ 引き継ぐ 被相続人が購入した日をそのまま引き継ぎます
旧法の判定
(旧定額法等)
📅 相続開始日で判定 被相続人の取得日ではなく、相続が始まった日で判定します
償却方法
❌ 引き継がない 相続人が新たに選定します(届出がなければ法定償却方法)
💡 まとめると:「金額・日付」は被相続人のものを引き継ぎ、「償却方法」は相続人が新たに選びます。旧法かどうかは相続開始日で判断します。

📝 まとめ

取得価額によって処理方法が変わる
10万円未満は全額即時経費。青色申告なら30万円未満まで全額即時経費(年300万円まで)が選べる
法定の償却方法は個人は定額法、法人は定率法(建物等は定額法のみ)
届出をすれば変更可能。旧定額法・旧定率法はH19.3.31以前取得の資産に適用
個人事業主は償却忘れに要注意(強制償却)
法人と違い、翌年以降に取り戻せないため毎年きちんと計上することが大切
中古資産・転用・相続はそれぞれ特別な計算ルールがある
中古は簡便法で耐用年数を計算。私用からの転用は未償却残高を計算し直す
💡 判断に迷ったら税理士に相談を
減価償却のルールは状況によって細かく異なります。中古資産・転用・相続のケースや、どの方法を選ぶべきかなど、不明な点はお気軽に税理士にご相談ください。
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