消費税の計算方法 一般課税、簡易課税、2割特例って何?

「消費税の計算って、どうやるの?」と思っている方へ。
消費税の計算方法には一般課税・簡易課税・2割特例の3種類があります。
この記事では、それぞれのしくみと選び方をわかりやすく解説します。


踏みたい場所にジャンプ

基準期間と課税期間とは?

消費税の話をするうえで、まず「基準期間」「課税期間」という2つの期間を理解しましょう。

【図①】基準期間と課税期間のイメージ(個人事業者の場合)

令和5年
1/1〜12/31
令和6年
1/1〜12/31
令和7年
1/1〜12/31
基準期間
課税売上高を
ここで確認
前年
課税期間
確定申告の対象
基準期間
課税売上高が
1,000万円超なら
令和7年に納税義務あり
課税期間
この年の売上・経費の
数字を使って
消費税を計算する
💡 ポイント:「基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えているかどうか」で、消費税を納める義務があるかどうかが決まります。

消費税の基本的な計算のしくみ

消費税は、お客さんから預かった消費税から、自分が支払った消費税を差し引いた残りを国に納めます。
この差し引き計算のことを「仕入税額控除」といいます。

【図②】消費税の基本計算式

売上の
消費税額
仕入や経費の
消費税額
(仕入税額控除)
納付する
税額
⚠️ 仕入税額控除には「インボイス(適格請求書)」の保存が必要です。
インボイスがない場合、仕入や経費の消費税を差し引けなくなる可能性があります。

3つの計算方法を比較する

消費税の計算方法は3種類あります。それぞれ計算のしかたが異なります。

【図③】3つの計算方法の比較

計算方法 計算式 インボイス
必要?
適用条件
一般課税 売上消費税 ー 実際の仕入消費税 必要 ❌ 制限なし(原則の方法)
簡易課税 売上消費税 ー 売上消費税 × みなし仕入率
(業種により40〜90%)
不要 ✅ 基準期間の課税売上高が
5,000万円以下
2割特例 売上消費税 ー 売上消費税 × 80% 不要 ✅ 令和5年10月〜令和8年9月
の期間限定
💡 簡易課税・2割特例はインボイスなしでも計算できます。
どちらも「売上の消費税額だけ」を使って計算するため、仕入インボイスの保存が不要です。

どの計算方法を選ぶ?

どの計算方法を使えるかは、売上規模や状況によって異なります。

【図④】計算方法の選択フローチャート

あなたの状況は?

❓ 2割特例の適用期間(R5.10〜R8.9の期間)かつ
  基準期間の課税売上高が1,000万円以下?

はい
↓ 2割特例が使えます
2割特例 ✅
(簡易課税・一般課税との選択適用)
いいえ
↓ 次の質問へ

❓ 基準期間の課税売上高が5,000万円以下?
  かつ事前に届出書を提出済み?

はい
↓ 簡易課税が選べます
簡易課税 ✅
いいえ
↓ 原則の方法になります
一般課税(原則)
⚠️ 簡易課税・一般課税と2割特例は選択適用です。有利な方を選べます。

一般課税 仕入税額控除のルール

一般課税では、「課税売上割合」によって控除できる仕入消費税の計算方法が変わります。

📌 課税売上割合とは?
全体の売上のうち、消費税がかかる売上(課税売上)が占める割合のことです。
課税売上割合 = 課税売上高 ÷(課税売上高 + 非課税売上高)

【図⑤】課税売上割合による仕入税額控除の方法

課税売上割合が 95%以上 かつ 課税売上高が5億円以下
🟢 全額控除

課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除対象とする

課税売上割合が 95%未満 または 課税売上高が5億円超

まず、仕入れを次の3種類に区分します

課税売上対応分
共通対応分
非課税売上対応分

次に、①〜③を使って以下のどちらかの方法で計算します

個別対応方式

①②③を区分して、それぞれに応じた計算をする

控除額 = × 課税売上割合

は控除不可のため算式に含まない

一括比例配分方式

①②③を区分せず、まとめて課税売上割合を掛ける

控除額 = ( ) × 課税売上割合

※ 一度選択すると2年間継続適用が必要

2割特例のポイント

2割特例は、インボイス制度の開始に合わせて設けられた期間限定の特例です。

【図⑥】2割特例の適用期間


R5.9
← 2割特例の適用期間 →
R5.10.1 〜 R8.9.30 までに始まる課税期間
R8.10〜
個人:R8.12.31まで 3月決算法人:R9.3.31まで

✅ 適用できる条件

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下
  • 課税期間の短縮特例を受けていない
  • 「課税事業者選択届出書」を提出していない

📌 便利な点

  • 確定申告書に付記するだけで適用可能(事前届出不要)
  • 一度売上高が1,000万円超でも、翌年に1,000万円以下になれば再度適用可

簡易課税の届出のルール

簡易課税を使いたい場合・やめたい場合には、それぞれタイミングに注意した届出が必要です。

場面 提出する届出書 提出期限
簡易課税を始めたい 消費税簡易課税制度
選択届出書
適用を受けたい課税期間の
初日の前日まで
簡易課税をやめたい 消費税簡易課税制度
選択不適用届出書
やめたい課税期間の
初日の前日まで
※2年間継続適用後に提出可
📋 特例:届出のタイミングが異なるケース

ケース① 免税事業者がR5.10.1〜R11.9.30の期間にインボイス登録をした場合
→ 登録を受けた日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から適用可能


ケース② 2割特例を適用した事業者が、翌年から簡易課税に移行したい場合
→ 2割特例を適用した課税期間の翌課税期間中に届出書を提出すれば適用可能

⚠️ 注意:基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合は簡易課税が使えなくなりますが、その後5,000万円以下に戻れば再び簡易課税で計算できます。

まとめ

✅ この記事のポイント整理

1
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円超かどうかで、消費税の納税義務が決まる
⚠️ ただし、適格請求書発行事業者の登録届出をしている場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても消費税の納税義務があります
2
計算方法は一般課税・簡易課税・2割特例の3種類。一般課税はインボイスが必要、簡易課税と2割特例は不要
3
2割特例はR5.10〜R8.9の期間限定。確定申告書に付記するだけで適用でき、事前届出は不要
4
簡易課税の選択・廃止には事前届出が必要。一度選択すると2年間継続適用が求められる
5
一般課税では、課税売上割合が95%未満の場合、個別対応方式または一括比例配分方式で仕入税額控除を計算する
※ 詳しい内容や個別のご相談は、お気軽にお声がけください。
※ 税制は改正されることがあります。最新情報は税理士または税務署にご確認ください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


踏みたい場所にジャンプ